潜水士免許を取ったあと、どこで働けるのか。潜水の仕事は、思っているよりずっと種類があります。私のような土木潜水のほかに、水族館やゴルフ場で潜っている人もいるのです。
- 免許を取ったあとの就職先が分からない
- 未経験でも採用されるのか不安
- 求人はどこに出ているのか知りたい
- 入社したらすぐ潜れるのか気になる

免許を取っても、働く場所がイメージできなくて…。

潜水の仕事は多岐にわたります。入ってくる人の前職にも、はっきりした傾向がありますよ。
私は現役の土木潜水士です。この記事では、潜水の仕事の種類、発注する側の会社、どんな人が入ってくるか、採用で見られること、求人の探し方、そして入社後の現実を、業界の内側から書きます。
多岐にわたる潜水の仕事

潜水士と聞いて思い浮かぶのは、映画『海猿』で知られる海上保安庁の潜水士かもしれません。ただ、実際の潜水の仕事はそれだけではありません。想像もしていなかった場所で潜っている人もいます。ここでは、どんな仕事があるのかを並べます。免許の使い道は、ひとつではないということです。
一番有名なのは海上保安庁
潜水の仕事で一番知られているのは、海上保安庁に属している潜水士でしょう。映画や漫画で描かれた影響もあり、潜水士といえばこのイメージを持つ人が多いと思います。
ただ、これは潜水の仕事のごく一部です。民間にも、潜る仕事はたくさんあります。
土木と調査の仕事
私がやっているのは潜水土木業です。港や川の工事を、水の中で行う仕事になります。
そのほかに、海洋生物や淡水生物を調査する潜水士もいます。生き物の数や生育の状況を、潜って確かめる仕事です。調査の結果は、工事の計画や環境の評価に使われます。

水族館やゴルフ場でも潜る
意外に思われるのが、日常の中にある潜水の仕事です。実際には、次のような仕事があります。
- 水中カメラマン
- 水族館での水槽のメンテナンス作業
- 船の船底掃除
- ゴルフ場に沈んだボールを拾う仕事
ゴルフ場のボール拾いまで潜水の仕事になるというのは、業界に入るまで私も知りませんでした。水のあるところには、必ず誰かが潜る必要が出てくるということです。
発注する側の会社

潜水の仕事は、誰かが発注してはじめて成り立ちます。潜水会社が自分で工事を企画することは、ほとんどありません。だからこそ、どんな会社が発注しているのかを知っておくと、業界の形が見えてきます。ここでは、私が現場で接する発注側を書きます。就職先を考えるときの材料になるはずです。
ゼネコンや港湾の工事会社
発注元として多いのは、ゼネコンです。大きな工事の一部として、水の中の作業が発生します。
潜水会社はその下に入る形です。現場では、元請けの担当者とやりとりしながら作業を進めることになります。
環境系や建築系のコンサル会社
調査の仕事で関わるのが、環境系や建築系のコンサル会社です。生き物の調査や、構造物の状態を確認する仕事を発注します。
土木工事とは求められるものが違いました。正確に記録を取る力や、報告する力のほうが重視される場面もあります。
自治体からの仕事もある
港や川は公共のものなので、自治体が発注元になることも多いです。護岸や岸壁の点検、災害後の調査などが該当します。
発注元が多岐にわたるということは、それだけ仕事の種類も幅があるということになります。
入ってくる人の経歴

ここは、これから目指す人に一番知ってほしい部分です。潜水業界に入ってくるのは、中途採用の人が多いという実感があります。しかも前職には、はっきりした傾向がありました。ここでは、どんな経歴の人が同僚になるのかを書きます。自分が当てはまるかどうか、確かめてみてください。
中途採用が多い
私が出会った中では、中途採用で入ってきた人が多い印象です。新卒でいきなり潜水会社に入る人は、そう多くありません。
潜水士免許は学歴も実務経験も問われないので、社会人になってから方向転換しやすい資格だということでもあります。
前職はレジャーダイビングが多い
そして前職を聞くと、レジャーダイビング業だった人が目立ちます。私自身もそうでした。
理由は想像がつくと思います。水に慣れていること、潜水器材を扱えること、そして好きな仕事だけでは生活が厳しいこと。この3つが重なると、同じ道を選ぶ人が多くなります。私の経緯はダイビングインストラクターからの転職【好きな仕事は副業に】実体験に書きました。
未経験からでも入れる
では完全な未経験はどうかというと、入れないわけではありません。潜水士免許に受験資格がない以上、入口は開かれています。
ただし、水に慣れているかどうかで最初の苦労がまったく違いました。免許の取り方は潜水士免許の取り方【独学2週間で合格】現役が難易度と費用を解説にまとめています。
採用で見られること

採用で見られるのは、年齢と所持資格です。そのうえで、人としてやっていけるかを見られます。潜水技術そのものは、入ってから身につける前提の会社も多いでしょう。ここでは、実際に何が評価されるのかを書きます。準備できる部分がはっきりすると、動きやすくなります。

年齢と所持資格
まず見られるのは、年齢と持っている資格です。体を使う仕事なので、年齢は正直に影響します。
資格は、潜水士免許だけでは足りないことが多いです。私の会社のように浚渫が中心なら、移動式クレーンや車両系建設機械が必要になります。どの資格から取ればいいかは現場で最初に取る資格3つ【玉掛け・重機・クレーン】現役が解説に書きました。
接客と体力
意外に思われるかもしれませんが、私が評価されたのは接客と体力でした。潜水技術ではありません。
現場は一人で完結しません。先輩がいて、元請けの担当者がいます。そこでのやりとりがうまくできないと、技術があっても難しいというのが正直なところです。
技術は入ってから身につく
逆に言えば、潜水技術は入社前に完璧である必要はありません。それは現場で覚えるものだからです。
採用する側が見ているのは、これから覚えられる人かどうか。素直さと体力は、そのまま評価につながります。
求人の探し方

潜水会社の求人は、大手の求人サイトに大量に並ぶタイプではありません。業界の規模がそれほど大きくないからです。ただし、まったく見つからないわけでもありません。ここでは、どこを見ればいいのかを書きます。見る場所を間違えなければ、情報は出てきます。
会社のサイトを直接見る
一番確実なのは、潜水会社のサイトを直接見ることです。採用情報を自社サイトだけに載せている会社は珍しくありません。
住んでいる地域の名前と「潜水工事」「海洋土木」などを組み合わせて検索すると、会社名が出てきます。
業界のつながり
次に大きいのが、業界の中のつながりです。私自身、求人を探さずにスカウトで転職しました。
関係のある仕事をしているなら、現場で会う人との関係が一番の情報源になります。今の仕事を丁寧にやることが、結果的に次の仕事につながります。
転職サイトでも見かける
最近は、転職サイトで潜水関係の求人を見かけることも増えました。以前よりは探しやすくなっている印象です。
複数の方法を並行して使うのが現実的でしょう。1つに絞る必要はありません。
入社後すぐは潜れない

最後に、現実的な話をします。入社してすぐ潜水作業に入れるとは限りません。むしろ、陸の仕事から始まるのが一般的だと思います。ここでは、入ってから何を覚えるのか、そしてなぜそうなるのかを書きます。ここを知らずに入ると、話が違うと感じるかもしれません。
陸の仕事が先
一般的には、潜水業務より先に陸上の仕事を覚えることが優先されます。潜るのは、その後です。
水中は特殊な環境です。陸での段取りができていない人を、いきなり水の中に入れるわけにいきません。
器材の扱いとホースの巻き方
覚えることは地味です。器材の扱い方、ホースの巻き方といった基本から始まります。
ホースひとつにしても、巻き方が悪いと現場で絡みます。水中にいる人の命に関わる作業なので、ここを適当にする会社はありません。
私の場合は例外だった
正直に書くと、私は転職後すぐに潜水作業へ入れました。これは例外的なケースです。
理由は、転職前から潜水作業の手伝いに行っていて、その仕事ぶりを見てもらっていたからでしょう。何も知らない状態で入ったなら、私も陸の仕事から始まっていたはずです。
潜水士の就職のよくある質問

潜水士の求人や就職について、よく聞かれることに答えます。私が働いている業界での実感なので、会社によって事情は変わります。ひとつの参考として読んでください。
未経験でも採用されるか
されると思います。潜水士免許に受験資格がないので、入口は開かれています。
ただし水に慣れているかどうかで、最初の苦労はかなり変わります。不安なら、レジャーダイビングで潜る回数を増やしておくのも手です。
何歳まで入れるか
会社によりますが、年齢は正直に影響します。体を使う仕事なので、若いほうが有利なのは事実です。
ただ私は35歳で転職しています。年齢だけで決まるわけではなく、持っている資格や経験との組み合わせになります。
潜水士免許だけで就職できるか
免許だけでは足りない会社が多いと思います。私の会社も、浚渫が中心なので重機の資格が必要です。
まず潜水士免許を取り、入ってから必要な資格を増やしていくのが現実的な順番になります。
泳ぎが得意でないとだめか
競泳のような速さは必要ありません。ただし水中で落ち着いて動けることは求められます。
慌ててしまう人は、自分だけでなく一緒に潜る人も危険にさらします。
どんな会社があるか分からない
地域名と「潜水工事」「海洋土木」で検索すると、会社名が出てきます。まずどんな会社があるかを知るところから始めてください。
仕事の種類も幅広いので、土木だけでなく調査や水族館の仕事も含めて探すと、選択肢が広がります。
まとめ

- 潜水の仕事は海上保安庁から水族館やゴルフ場まで幅広い
- 発注元はゼネコン・コンサル会社・自治体など
- 入ってくるのは中途が多く、前職はレジャーダイビングが目立つ
- 採用で見られるのは年齢と所持資格、そして接客と体力
- 求人は会社のサイト、業界のつながり、転職サイト
- 入社後はまず陸の仕事から覚えるのが一般的
潜水士免許を取ったあとの道は、ひとつではありません。水のあるところには、必ず潜る仕事があるからです。
そのうえで大事なのは、免許だけで勝負しないことです。私の場合、評価されたのは潜水技術ではなく接客と体力でした。採用する側は、これから覚えられる人かどうかを見ています。
- 住んでいる地域名と「潜水工事」で検索してみる
- 気になる会社のサイトで採用情報を見る
- 今の自分の年齢と資格で何が足りないか書き出す
まずは1つ目だけで十分です。どんな会社があるか分かれば、必要な資格も見えてきます。



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