水の中で溶接をしています。陸上とはまったく別の作業でした。
- 水中で溶接なんてできるのか
- 感電しないのか
- どんな資格が必要なのか
- 仕事として成り立つのか

水の中で溶接って、そもそも可能なんですか。感電しそうですけど…。

できます。ただ感電のリスクは本当にあるので、点検だけは絶対に省きません。
私は現役の土木潜水士です。水中と陸上の両方で溶接をしています。この記事では、実際に何を溶接しているのか、必要な資格は何か、陸上と何が違うのか、そして溶接ができると仕事がどう変わるのかを書きます。
水中溶接とは何か

まず、何をしているのかから書きます。私が水中でやっているのは、構造物の補修と防食の作業です。新しいものを一から組み立てるわけではありません。すでにある港の設備を直す仕事が中心になります。ここでは、具体的に何を溶接しているのかを書きます。
補強鋼板を当てる
1つ目が補強鋼板の取り付けです。傷んだ部分に鋼の板を当てて、溶接でとめます。
海の中の鋼は、年数が経つと腐食していきます。弱くなった箇所を板で補強するのが、この作業の目的でした。

陽極を取り付ける
2つ目が陽極の取り付けです。腐食を防ぐための金属を、構造物に付ける作業になります。
港の鋼構造物では、電気の力で腐食を抑える方法が広く使われています。この陽極は時間とともに減っていくので、潜って点検や交換をする必要があるのです。
陸上の溶接もやる
水中だけではありません。陸上での溶接作業も行っています。
潜水士だから水中専門、ということにはなりません。どちらもできるほうが、現場で任される幅は広がりました。
水中溶接に必要な資格

よく聞かれるのが資格のことです。意外に思われるかもしれませんが、溶接について特別な資格を追加で取る必要はありませんでした。そのかわり、欠かせないものがあります。潜水士免許です。ここでは、私の場合に必要だったものを書きます。
溶接の追加資格はいらなかった
私の場合、水中だからといって溶接の資格が追加で必要になることはありませんでした。持っているのはアーク溶接の特別教育とガス溶接の技能講習です。
どちらも法令で定められた安全教育にあたります。ただし作業内容や発注者によって求められるものは変わるので、会社や元請けに確認してください。
潜水士免許は必須
一方で、潜水士免許がなければ水中では何もできません。溶接ができても、潜れなければ現場に立てないのです。
取り方は潜水士免許の取り方【独学2週間で合格】現役が難易度と費用を解説に書きました。国家資格の中では取りやすい部類です。

溶接の講習は会社が出してくれた
アーク溶接もガス溶接も、費用は会社が負担してくれました。自分では払っていません。
頼み方には順番があります。そのやり方は資格費用を会社に出してもらう言い方【7資格50万円】現役が実例公開にまとめました。
陸上との一番の違い

ここからが実感の話です。最初に苦労したのは視界でした。技術以前の問題で、そもそも見えないという状況が陸上にはありません。慣れるまでに時間がかかった部分です。ここでは、やってみて分かった違いを書きます。
日によって透明度が変わる
水中の環境は一日一日、透明度が違います。当たり前のようですが、やってみるまで想像していませんでした。
よく見える日もあれば、まったく見えない日もあります。同じ場所でも、昨日と今日で条件がそろわないということです。
見えない日でも作業する
そして見えない状態でも作業しなければなりません。見えるまで待つ、という選択肢はないからです。
手の感覚と経験で進めることになります。ここが陸上の溶接と一番違うところでした。

姿勢と運棒がまるで違う
見え方だけではありません。姿勢の確保も、運棒の動かし方も、すべて陸上とは別物です。
地面に足をつけて踏ん張れる場所ばかりではありません。体が浮く中で姿勢を保ちながら、棒を動かしていく必要があります。
感電のリスクと事前点検

ここは正直に書いておきたいところです。水中での溶接には感電のリスクがあります。気をつけていても、機材に不具合があれば危険は生まれるでしょう。だからこそ省けない作業があるのです。ここでは、私が必ずやっていることを書きます。
水中だから危険が増える
陸上の溶接にも感電の危険はあります。ただ水の中では、その危険の度合いが変わります。
逃げ場のない環境だということです。体が濡れているどころか、全身が水に囲まれた状態で電気を扱います。
ケーブルの断線が一番怖い
私が一番警戒しているのがケーブルの断線です。被覆が傷んでいれば、そこから電気が漏れます。
機材は使っていれば傷みます。見た目に異常がなくても、内部で断線していることがあるのです。
使用前点検は必ずやる
だから使用前の事前点検は必須です。これだけは、急いでいても省きません。
点検を飛ばして事故が起きれば、取り返しがつかないからです。水中の作業は、手順を飛ばすと命に関わります。
溶接ができると仕事が増える

最後に、仕事の話を書きます。溶接ができると、任される仕事は間違いなく増えます。潜れるだけの人と、潜って溶接までできる人では、呼ばれる現場の数が違うからです。ここでは、実際にどう変わったのかを書きます。
水中も陸上も任される
私は水中と陸上の両方で溶接を担当しています。片方しかできない場合と比べて、仕事の幅が違います。
現場の都合に合わせて動けるということです。頼まれる側でいられるのは、資格と技術の両方があるからでした。
JIS規格の免許を目指している
いま目指しているのがJIS規格の溶接免許です。日本溶接協会が実施している溶接技能者評価試験にあたります。
アーク溶接の特別教育が安全のための教育なのに対して、こちらは技能そのものを評価する試験です。取得すればさらに仕事が増えるので、日々勉強しています。
資格が仕事を連れてくる
振り返ると、資格を1つ増やすたびに呼ばれる現場が増えてきました。溶接もその1つです。
手当の話は資格手当でいくら増える?【月5万円を公開】現役土木潜水士の実例に書きました。収入だけでなく、仕事の中身そのものが変わっていきます。
水中溶接のよくある質問

水中溶接について、よく聞かれることに答えます。私が実際にやっている範囲での答えです。必要な資格や安全の基準は作業内容によって変わるので、実際に行う場合は会社や元請けに必ず確認してください。
水中で電気を使って感電しないのか
感電のリスクはあります。だから使用前の点検を欠かしません。
機材に不具合がなければ作業はできますが、危険がゼロになるわけではないという前提で扱っています。
溶接の資格だけで水中でもできるか
できません。潜水士免許がなければ水中には入れません。
逆に、私の場合は溶接について水中用の資格を追加で取る必要はありませんでした。
未経験から水中溶接はできるか
いきなりは難しいと思います。潜水と溶接という2つの技術が必要になるからです。
私も溶接だけを先に覚えたわけではなく、潜る仕事をしながら身につけていきました。
視界が悪い日はどうするか
見えない状態のまま作業します。見えるようになるまで待てる現場ばかりではありません。
手の感覚を頼りに進めることになるので、ここは経験がものを言う部分でした。
何を溶接しているのか
私がやっているのは補強鋼板と陽極の取り付けです。どちらも港の構造物を長持ちさせるための作業になります。
新しく何かを作るというより、傷んだところを直す仕事が中心です。
まとめ

- 水中と陸上の両方で溶接をしている
- 溶接しているのは補強鋼板と陽極
- 溶接の追加資格は必要なかった
- 潜水士免許がないと水中には入れない
- 一番苦労したのは日ごとに変わる視界
- 感電のリスクがあるので事前点検は必須
水中溶接は、潜水と溶接の両方ができて初めて成り立つ仕事です。どちらか片方では現場に立てません。
そのぶん、できる人は多くありません。資格を1つずつ増やしてきた結果、呼ばれる現場が増えていきました。
- 自分の会社に溶接の作業があるか聞く
- アーク溶接の特別教育の日程を調べる
- 費用を会社が出せるか相談する
まずは1つ目で十分です。溶接の仕事があるなら、そこから先は具体的に動けます。



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