ダイビングインストラクターを13年やって、35歳で転職しました。ただし好きな仕事を捨てたわけではありません。今も副業として、ガイドと講習を続けています。
- 好きな仕事だけど生活が厳しい
- 辞めたら今までの経験が無駄になりそう
- 他の業界でやっていけるか不安
- 辞めると言い出せない

好きな仕事を辞めたら、それまでの経験は無駄になりませんか。

私は13年分の経験がそのまま次の仕事につながりました。しかも好きなほうは副業として残しています。
私は22歳から35歳までスキューバダイビングのインストラクターとして働き、今は土木潜水士をしています。この記事で書くのは、転職を決めた理由、どうやって次の会社が決まったか、辞めると伝えた日のこと、面接で言われた一言、そして今の働き方です。すべて実際にあったことだけを書きます。
転職を決めた理由

まず、私は仕事が嫌になって辞めたわけではありません。インストラクターの仕事は好きでしたし、今でもあの13年を後悔していないのです。それでも辞めたのは、家族を守るためでした。ここでは、きっかけになった出来事と、当時の生活について書きます。同じ理由で迷っている人は、少なくないと思います。
子どもからの電話
きっかけは、子どもからの一本の電話でした。当時9歳だった子どもが、仕事中に泣きながら「いつ帰ってくるん」と言ったのです。
家を空けている時間が長すぎて、子どもと過ごす時間がまったく取れていませんでした。その電話で、はっきり思いました。このままでは、お金も時間も家族に何ひとつ渡せない、と。
給料と時間の限界
当時の手取りは20万円、年収は300万円でした。妻のパート収入がなければ、家族4人の生活は回りませんでした。
しかも朝は早く帰りは遅い。お金も時間も足りないという状態が、長く続いていたのです。詳しくはダイビングインストラクターの給料【年収300万】13年の実額公開に書きました。
嫌いになって辞めたわけではない
ここは誤解されたくないところです。私は好きなまま辞めました。やりがいもありましたし、お客様に恵まれてもいました。
好きな仕事を続けることと、家族を守ること。この2つを天秤にかけたとき、答えが決まっていただけです。
手伝い先からのスカウト

転職活動と聞くと、求人サイトを見て応募する姿を想像すると思います。私の場合は違いました。求人はひとつも探していません。冬のあいだ手伝いに行っていた潜水会社から、声をかけてもらったのです。ここでは、どういう経緯で決まったのかを書きます。これが、この記事で一番伝えたい部分かもしれません。

冬に通っていた潜水会社
私は夏にレジャーダイビング、冬に潜水作業という働き方をしていました。その冬の手伝い先が、今の会社です。
毎年通っているうちに、現場の人たちに顔と仕事ぶりを覚えてもらっていました。転職先を探す前から、すでに知られていたことになります。
下請けの立場から中に入る
当時の私は、元請けから何段も下の立場で手伝いに行っていました(3次下請けの、そのまた4次下請け)。入社したのは、そこより元請けに近い会社です(2次下請け)。
同じ現場にいても、立場はまるで違います。外から手伝いに来る人間から、中の人間になったということです。
求人を探さずに決まった3か月
転職活動にかかったのは3か月程度でした。求人サイトも使っていませんし、何社も受けていません。
声をかけてもらったのは、特別なことをしたからではないと思っています。毎年きちんと手伝いに行き、現場で手を抜かなかった。それだけです。目の前の仕事をちゃんとやることが、一番確実な転職活動だったということになります。
辞めると伝えた日

転職先が決まっても、辞めると伝えるのが一番重いという人は多いと思います。私もそうでした。大学を出てからずっとお世話になった会社で、人数も少なく、自分が抜ければ迷惑をかけるのは分かっていたからです。ここでは、いつ、どう伝えたのかを書きます。
年末に社長と2人きりで
伝えたのは年末、社長と2人きりになったときでした。人がいる場では言えません。
大勢の前で切り出すと、相手も立場上の反応をせざるを得なくなります。2人のときを選んだのは、正解だったと思っています。
3月末と期限を切って伝えた
そのとき、「3月末で辞めます」と期限を切って伝えました。「いつか辞めたい」ではありません。
期限があると、会社も引き継ぎの計画を立てられます。曖昧に伝えるほうが、かえって迷惑をかけることになります。
引き止めはなかった
結果として、引き止められることはありませんでした。拍子抜けするくらい、すんなりと受け入れてもらえたのです。
あとで聞いた話では、社長はツアーのお客様に相談していたそうです。お客様の中にはいろいろな会社の社長がいて、その人たちの意見も聞いていたと。対面で築いてきた関係が、こういう場面でも効いていたのだと思います。
面接で言われた一言

面接では、自分の条件を先に伝えました。遠慮して黙っていると、入ってから「こんなはずでは」となるからです。そこで返ってきた言葉が、入社を決める後押しになりました。ここでは、何を伝えて、何を言われたかを書きます。
必要な資格は全部取りたいと伝えた
私が伝えたのは、「必要な資格に関しては、すべて取得したいです」ということでした。働くうえでの希望として、はっきり口に出したのです。
相手は役員の方々でしたが、遠慮はしませんでした。お金のかかる話なので、入る前に確認しておきたかったのです。
資格は全面的にバックアップする
返ってきたのは、「資格に関しては全面的にバックアップする」という言葉でした。
会社としては当たり前のことかもしれません。それでも、当時の私には胸に響きました。手取り20万円で資格を自費で取ってきた身からすると、この一言の重みはまったく違ったのです。
条件は入る前に伝える
この経験から言えるのは、条件は入社前に伝えたほうがいいということです。入ってから言い出すと、どうしても「お願い」の形になります。
実際、入社後に7つの資格を会社の費用で取らせてもらいました。その方法は資格費用を会社に出してもらう言い方【7資格50万円】現役が実例公開にまとめています。
評価されたのは接客と体力

「潜れること」が評価されたのだろうと思われがちですが、実際は少し違います。評価されたのは、接客と体力だったと感じています。潜水技術はもちろん必要ですが、それだけでは足りません。ここでは、インストラクター時代に身につけた何が、転職で役に立ったのかを書きます。
潜水技術だけでは入れない
正直に書くと、潜水技術があっても、人との対応ができなければ入社は厳しかったと思います。現場は一人で完結する仕事ではありません。
先輩がいて、元請けの会社の方がいて、その中で動くことになります。技術の前に、そこでやっていけるかを見られていたはずです。
元請けや先輩とのやりとり
現場では、元請け会社の方や先輩とのやりとりが日常的に発生します。ここでつまずくと、技術以前の問題になります。
インストラクター時代は、毎日いろいろなお客様を相手にしていました。年齢も性格もばらばらな人と、その日のうちに信頼関係を作る仕事です。
インストラクター時代に鍛えられたもの
結果として、接客で鍛えられたことが、そのまま現場で効きました。相手の様子を見て話し方を変える、先回りして動く、安全に気を配る。
体力も同じです。13年間、朝から晩まで動いてきた体は、現場でも通用しました。好きな仕事で積み上げたものは、形を変えて残ります。
好きな仕事は副業に残した

最後が、この記事で一番伝えたいことです。私は好きな仕事を、副業として残しました。転職は、好きなことを手放すことと同じではありません。ここでは、今の働き方と、そのために必要なことを書きます。辞めるかどうかで迷っている人に、知っておいてほしい選択肢です。

今もガイドと講習をしている
本業は土木潜水士ですが、今もレジャーダイビングのガイドと講習を副業で続けています。定期的にお客様と潜りに行く日があるのです。
レジャーダイビングにどっぷり浸かりたい、という気持ちはもうありません。ただ、あの喜んでもらえる時間だけは手放したくなかったのだと思います。
資格を持ち続ければ道は残る
これができるのは、インストラクターの資格を保持し続けているからです。資格さえ維持していれば、本業を変えても副業として続けられるのです。
辞めるときに資格まで手放してしまうと、この道は消えます。迷っているなら、資格だけは残しておいてください。
辞めることは終わることではない
本業を変えたことで、収入は年収300万円から約680万円になりました。仕事は16時に終わり、家族との時間もできています。くわしくは土木潜水士の年収はいくら?【現役が手取り公開】仕事内容も解説に書きました。
そのうえで、好きなことは副業として残っています。辞めることは、終わることではありません。私にとっての転職は、好きなことを稼げる形に組み替える作業でした。
転職についてよくある質問

ダイビングインストラクターからの転職について、よく聞かれることに答えます。私の場合の経験なので、すべての人に当てはまるわけではありません。ひとつの例として読んでください。
未経験の業界に転職できるか
できると思います。ただし私の場合は、まったくの未経験ではありませんでした。冬のあいだ潜水作業の手伝いに行っていたからです。
いきなり無関係の業界へ飛ぶより、今の仕事と地続きのところを探すほうが現実的でしょう。
求人はどうやって探すか
私は求人を探していません。手伝いに行っていた会社から声をかけてもらいました。
ただしこれは運もあります。心当たりがない場合は、求人サイトや転職サービスを使うのが普通の進め方になります。
辞めるタイミングはいつがいいか
私は年末に伝えて、3月末に辞めました。繁忙期を避け、引き継ぎの時間を取れる時期を選んでいます。
大事なのは、期限を切って伝えることです。曖昧なままだと、お互いに動けません。
インストラクター経験は何に使えるか
私の場合は接客と体力が評価されました。潜水技術はもちろんですが、それだけではありません。
人と信頼関係を作る力、安全に気を配る習慣、長時間動ける体。どれも他の仕事で通用します。
資格は維持したほうがいいか
維持することをおすすめします。私はインストラクターの資格を持ち続けているので、今も副業としてガイドができています。
辞めるときに資格まで手放すと、戻る道も副業の道も消えてしまいます。
まとめ

- 好きなまま辞めた。嫌いになったわけではない
- 求人は探さず、手伝い先からスカウトされた
- 転職活動の期間は3か月程度
- 辞めると伝えたのは年末、社長と2人きりのとき
- 評価されたのは潜水技術より接客と体力
- 好きな仕事は副業として残している
ダイビングインストラクターからの転職は、私にとって好きなことを諦める決断ではありませんでした。本業を変えて生活を立て直し、好きなほうは副業として残す。結果としてそういう形になっています。
目の前の仕事をちゃんとやっていれば、それを見ている人がいます。私が求人を探さずに済んだのは、毎年きちんと手伝いに行っていたからでした。
- 今の仕事と地続きの業界を1つ書き出す
- 持っている資格の有効期限を確認する
- 辞めるなら、いつまでにと期限を決める
まずは1つ目だけで十分です。まったく無関係の業界を探すより、今やっていることの延長線上に道があることのほうが多いはずです。



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